2018年 12月 例会

 

冬の浜漂着船の影蒼し       十桝

裸木や記憶の筆で色付けし     漁市

牡蠣づくし笑顔はじける和の宴   英

廃屋や陽に艶めいて柿簾      涼呂

枝を剪る庭師のはさみ音冴えて   玲

朝風に甘いおもみの吊るし柿    翠風

四年越し咲くポインセチアの赤   さとか

息白し暖簾ささやく帰り道     扇子

 

2018年 11月 例会

 

赤黄色インスタ映えす紅葉山     玲

新蕎麦に凪の三崎は色香添え     扇子

平成や最後となりぬ冬仕度      英

紅葉らの脇役見事松と杉       駄犬

しゃきしゃきと空に響かせ菊膾    さとか

芋煮会帰りのバスの静けさよ     十桝

天高し耳をすませて水琴窟      寿々

実方の墓前に傾しぐ野菊かな     信

立冬やパリの朝顔ふたつみつ     みちのり

見上げれば銀杏黄葉よ青空よ     翠風

聞けとどけ鎮魂の舞鰯雲       大丈夫

食レポは黙しズルズル新蕎麦会    いつつばし

花束のごとく抱かれて秋惜しむ    いずみ

 

2018年 10月 例会

 

台風に負けじと咲いてバラ二輪     アキノ

味くらべ味覚も肥える稲雀       玲

穏やかな陽に包まれてし秋遍路     涼呂

横丁でブルース歌う虫二匹       いつつばし

木犀のこぼれし花や風となり      扇子

せわし日々布団干せたるうろこ雲    星美

焼き芋の香りの中に鬼妻(つま)独り    駄犬

モネの池時間止まるや赤とんぼ     寿々

見上げれば思いっきりの鱗雲      さとか

モスクワや空の青さにひそむ影     十桝

雉鳴いて栗山一つ起きにけり      わるつ

萩トンネル抜けて二人のベビーカー   大丈夫

鶏頭や山里の秋ひとりじめ       みちのり

秋時雨人影まばら定禅寺        英

美酒酌むや強風のあと秋夕焼け     翠風

ねこじゃらし河原は風の棲むところ   いずみ 

 

2018年 9月 例会

 

秋天やトンボのメガネは児ら乗せて   わるつ

青虫の丸々肥えて青々と        翠風

想定外日本壊滅夏終る         英

勇気持ち逃げを選びし猛暑の日     十桝

嵐去りさわやかな空雲遊ぶ       のりみち

風鈴や猫われともに寝返りす      大丈夫

秋雨に仙台城の煙りけり        信

闇透かし奏でる虫の鎮魂歌       いつつばし

ひかりさす沼一面や蓮の花       寿々

絵手紙や言の葉ゆれて季節風      扇子

ひと夏を楽しませたり立葵       アキノ

秋遍路百夜通いの心地して       駄犬

滔々と秋を混ぜゆく広瀬川       涼呂

秋の虫ラヴェルのボレロ真似て鳴く   玲

海あふれ山崩れゆく秋嵐        さとか

九月きた焼け付く日々を生き抜いて   星美 

 

2018年 8月 例会

 

クレヨンものんびりしてる夏休み      さとか

見上げれば堂々ねぶたの睨み顔       翠風

毎日が酷暑の庭で樹々元気         アキノ

波さらう足裏の砂夏夕日          いつつばし

孟夏にて白球一つ甲子園          英

蒲の花指したる先や風の道         凉呂

寄せる波夕日に映えて忘れ潮        扇子

夕立にこれも恵と石地蔵          駄犬

サングラスはずしてくわえ悪おやじ     大丈夫

赤子眠る母の胸元つたう汗         玲

かなかなとレコード聴いてワインかな    みちのり

風そよぐはたと静まる蝉時雨        信

無花果の葉の萎れゆく猛暑かな       十桝

 

2018年 7月 例会

 

夏草の薫る夜風やペダル漕ぐ      いつつばし

突然の雷雨束の間涼誘い        玲

白南風の天の橋立股のぞき       翠風

梅雨明けて足取り軽く街に出る     アキノ

草からむ白粉花の楚々として      信

夏近し雲が作りし花と池        扇子

紫陽花や空を聴きたる坐禅会      さとか

虎の尾のうねりにそよぐ朝風よ     星美

ものもえば唐糸草の揺らめけり     十桝

梅雨空に青空恋し恋心         英

入道を打ち落とさんと飛行雲      駄犬

ふわふわり命の光ホタルかな      寿々

法隆寺五臓六腑を癒す葛の餅      みちのり

廃寺や雨あがりたりあやめ園     大丈夫

炎天下白鷺の影杭となり       涼呂

椅子ふたつ置きて一人や夏木立    いずみ

 

2018年 6月 例会

 

梅雨晴れ間心決めたる生前葬      英

きゃらぶきに母と蔵王嶺写しおり    駄犬

魂の音色響ける初夏の街        扇子

雨降れば三日で開く豌豆(えんどう)の花    法導

小舟浮く貞山堀に夏の月        いつつばし

風そよぐ五感を包む夏木立       涼呂

つばめつばめ横並びする宿の車庫    わるつ

皿の上に対峙する胡瓜紅生姜      信

白鳥居藩祖偲ぶや蝉の声        寿々

虚言癖はびこる国に梅雨来たる     十桝

山里の子等のおやつはさくらんぼ    アキノ

野原ごと白詰草の髪飾り        さとか

新緑の山々縫いし陸奥の道       星美

雲を突き光放つや夏の月        玲

郷の味山椒漬けや酒のつま       翠風 

 

2018年 5月 例会

 

やまつつじ見守る郷は夜明け前      駄犬

田に映る空に手植えの早苗かな      いつつばし

春光の浜辺賑わす子の笑顔        涼呂

早緑のまだ柔らかき薔薇の棘       いずみ

鳶一羽鴉に追われ山笑う         大丈夫

ゆらゆらりお守りゆれるランドセル    寿々

栗駒や漸く咲いた山桜          アキノ

夏めくや十一万の熱視線         翠風

旅の宿若葉香りし湯気の肌        扇子

風青しうわずみさくらしなやかに     法導

ぶらんこや空に飛び込む足二本      さとか

風止みぬ遊佐の丸池青々と        十桝

春うらら断捨離受けてうれ淋し      英

朽ちてなお落ちぬ椿と添える手と     玲

涸れ沢にかかる丸太や若葉風       信 

 

2018年 4月 例会

 

遊歩道瞳を染めし花吹雪         涼呂

思い出とそよ風まとい観るさくら     さとか

宵桜散りてビルには華灯り        いつつばし

浮かれどもどこか切なや桜季節      玲

再開や寺のさくらに染まる頰       扇子

車窓より横目で眺める花疲れ       アキノ

そちこちに連翹光る籬かな        信

カタクリや群れて耐え咲く野草園     星美

兜太逝くわいわい句会花の道       大丈夫

花吹雪滞空時間のいとおしき       わるつ

春光や母逝く空に透ける青        翠風

手の平をかざせば遠き百済かな      十桝

忘却も記憶の一つ桜散る         英

SLにそっと寄り添う紅しだれ      駄犬

行く春ややさしき嘘を聞き流す      いずみ

一億の心和ます桜かな          法導

 

2018年 3月 例会

 

春近し被災地照らす金メダル       英

春光や開く木陰の福寿草         法導

マンサクのひっそり咲くや砦跡      信

氷池万華鏡なる夕日かな         寿々

凍空に蒔絵の星座エリダヌス       いつつばし

幼児のピンクのほっぺ雛あられ      扇子

山笑う十分停る無人駅          いずみ

伊達マスク伊達マスクもあり春隣り    大丈夫

波揺らりアガサクリスティーの浮寝かな  十枡

風光る木々の緑に光射し         アキノ

風嵐去りておだやか雛の顔        玲

垂り雪視界広げて空清し         凉呂

浅き春水面の光名取川          星美

大地より春の息吹や子等駆ける      わるつ

佳き日かな孫の祝いの雛御膳       翠風

啓蟄や蕾のはしゃぐ雨あがり       さとか 

 

2018年 2月 例会

 

錆びた大砲ブーベンビリア風にゆれ   寿々

毛嵐や妻待つ女川大漁旗         いつつばし

立春や桜色大目に恵方巻         玲

青空に染まりかけてる日向ぼこ      さとか

息白く頭上飛び交う大道芸        涼呂

真冬日の続きて燗を熱めにし       大丈夫

鷺飛びて一面の雪ざわめきし       星美

餌ねだる命のあまたや寒雀        わるつ

折り紙の色紙に雛の重ねけり       翠風

立春の光を粉ぜて耕せり         法導

凍てる夜や十七文字を一人酌む      信

ターミナル六花舞いとぶ窓の外      扇子

生も死もたった一文字春の雪       いずみ 

 

2018年 1月 例会

 

庭の雪見て新年も心白く          アキノ

降る雪やいなせ葉牡丹そろい踏み      扇子

残り葉をちぎり取らんと地吹雪や      いつつばし

雪見風呂カラスと我のふたり占め      寿々

北窓に丸太のごとき氷柱かな        さとか

冬の夜の金色の月冴えにけり        信

冴ゆる夜や炎の如きフラメンコ       涼呂

又ひとつ雪の凹みや落椿          わるつ

流れ着く魂いくつ時化の海         十桝

おろおろと待つ産声や最中月        翠風

銀世界輝く木立騎士に見え         玲

ふうわりとその先あたり雪女        大丈夫

凧揚げや古希の祝いの初御空        法導