２０２２年１２月例会

古き定期入れ勤労感謝の日　          漁市

道の果て新そば祭の旗戦ぐ　          牛歩

寒暁の湖面蹴り飛ぶガン万羽   　   風輝

山茶花やポストの音はよく響き　   泉水

冬の蝶それぞれに生ひ立ちのあり　葵

侘助や父と娘の句碑並めるて　　   ぽぷら

フェルメール窓から入る小春かな   大丈夫

サイレンの何処まで走る冬の月　　涼呂

ゴミ出しを終えて息つく冬の朝　　十桝

移流霧急ぐ心に義母の顔　　　　　寿々

手作りの藍染襟巻娘より　　　　　扇子

凍みぬよに大根くるむ新聞紙　　　玲

鮟鱇や浜の訛りの鍋奉行　　　　　駄犬

うそ寒し曲が流るる「冬隣」　　　 翠風

ゆるやかに陽のありがたし冬はじめ　英

ワイパーで払う吹雪に家灯り　　　 いつつばし

金星の光る初日や石蕗の花　　　 　島文庫

 

２０２２年１１月例会

 苅田這うように鷺飛ぶ雨催ひ 　  島文庫

天寒し押されて泣くや月の食　  　  漁市

昼さがり迷い来たりしトンボあり　宗孝

庄内の柿実る頃墓じまい　　　　    牛歩

天を突くもみじ葉響く鐘一つ　　　風輝

もう誰も届かぬ高さ柿熟るる　　　泉水

雲のない空の退屈小鳥来る　　　　葵

小鳥来る子規の文机据え置かる　　ぽぷら

散り敷ける黄葉紅葉の寺の庭　　　大丈夫

山さやか会津盆地の秋さやか　　　十桝

そぞろ寒酔ったふりして手をつなぐ 寿々

冬うらら朱に映え聳ゆ五重塔　　　 扇子

リフトからもみじ愛でるや楽々に　玲

日の匂い竿に吊るすや柿百個　　　翠風

晩秋に黄金の絨毯勾当台　　　　　英

豊穣の棚田吹く風黄金色　　　 　いつつばし

 

 

２０２２年１０月例会

 火鉢跡残る畳や古き家　　　 　いつつばし

うそ寒や津軽の空に鳥威し　　   　島文庫

無遠慮に陽射し伸び来る秋の居間　 漁市

秋空に大きく響くジャズフェスタ　  宗孝

栃の実の落つる音する野草園　　　  牛歩

夕陽浴び黄金に変わる芒かな　　　   風輝

あれこれとあき箱を手に秋惜しむ　   泉水

燈火親し先のほどけし栞紐　　　　　葵

秋澄みて読みたき本をまずそろえ　 大丈夫

銀杏の焼きて艶めく翡翠色　　　　　涼呂

ロゼ一杯もう一杯の秋時雨　　　　　十桝

草の花心地よさそな里の風　　　　　林道

眺めては心静まる曼殊沙華　　　　　寿々

窓越しの風に乗り来る虫の声　　　　扇子

蟷螂の獲物を前に合掌す　　　　　　玲

旅解禁温泉紅葉奥州路　　　　　　　駄犬

敬老日祝い届くよ我も婆　　　　　　翠風

ひと雨ごと深まる秋や楽しめる　　　 英

 

２０２２年　９月 　例会

 秋雨にわが身の整理あらためて　　　英

傘忘れ長居のカフェや露時雨　　　いつつばし

カマキリのようなスマホっ首の群れ　島文庫

白河の関越えし八月のゆく　　　　　漁市

朝もやに鳴く山鳩の声しずか　　　　宗孝

提灯にトルコ桔梗が写る盆　　　　　牛歩

雨雲や時期尚早と名月に　　　　　　風輝

山裾の日当りみじか仙翁花　　　　　泉水

餅二つ餡足らぬまま盆会かな　　　　葵

かちどきに天さす指や秋高し　　　　大丈夫

朝顔の空を染めゆく蒼さかな　　　　涼呂

ひと休みしている風車秋を待つ　　　十桝

焼きたての根曲り竹とぬるい酒　　　林道

秋しぐれ晴れぬ心や黄色傘　　　　　寿々

関越えを叶えし球児夏の風　　　　　扇子

昼と夜の落差とまどふ秋隣　　　　　玲

点となり光となりし秋つばめ　　　　いずみ

泥長靴の妻の両の手甘藷あまた　　　駄犬

水ようかん楊枝かまえて厚く切り　　翠風

 

２０２２年　８月 　例会

 鳴りやまぬ警報メール梅雨滂沱　  翠風

立秋に全て忘れて露天風呂　　　　　英

炎天も背負い剛力尾瀬木道　　　　いつつばし

手花火の玉の緒ぽたりポリバケツ　　島文庫

初盆の友のメアドを消し難く　　　　漁市

焼きナスのほのかな香り旅の宿　　　宗孝

コロナ禍に孫の笑窪の光る夏　　　　牛歩

緑陰の熱き二人に風そよぐ　　　　　風輝

コスモスを揺らさぬように人と会う　泉水

秋澄むや湧水の地の訛り聞く　　　　  葵

国歌斉唱マスクの中の暑さかな　　　大丈夫

梅雨明けや観音雲のふくらみ来　　　 涼呂

真夏日やいつもの飲み屋通り過ぎ　　十桝

山百合は松の林で輝けり　　　　　　林道

万葉を詠う美人のうすごろも　　　　寿々

夏祭り売り子担当威勢良く　　　　　扇子

雨上がり地を這いさがす茗荷の子　　  玲

夕暮れの風に馴染みし古浴衣　　　　いずみ

蝉しぐれ亡母の声聞く墓参かな　　　 駄犬

 

２０２２年　７月 　例会

 治療待つ席に置かれる麦藁帽　いずみ

天平の風とたわむる花あやめ　　駄犬

山滴る遠き想いの只見線　　　　翠風　

キャンプ場男料理に談笑す　　　英

閃光を追いて雷鳴暴れ来る　　いつつばし

梅雨寒やいまそこにある核兵器　島文庫

長日傘風を梳きたる並木道　　　漁市

コロナ禍の祭囃子も控えめに　　宗孝

十薬の文字輝ける線路下　　　　牛歩

どしゃ降りや青梅枝にしがみつき　風輝

風鈴を鳴らさぬように吹きにけり　泉水

ＩがありＪもあるぞと青胡瓜　　　葵

くちなしの香りも入れて夕餉かな　涼呂

不如帰鳴く音に今日の目覚めかな　林道

自転車のブレーキ効かすホトトギス　寿々

早苗揺れ水面に映る深き天　　　　扇子

冷房中留守番犬の四股のばす　　　　玲

 

２０２２年　６月 　例会

 青棚田時の流れのちがうまち　　駄犬

福山雅治ライブ熱気に汗ひかる　　翠風

梅雨寒や心は未だ燃えにけり　　　英

母結ぶ粽香るや釜戸わき　　　　いつつばし

雷鳴のボレロ黒雲迫り来る　　　　島文庫

麦秋に飢餓の人居りただ哀し　　　漁市

絶叫し東へ西へホトトギス　　　　牛歩

せせらぎにホバのかわせみ時止まり　風輝

初鰹端麗辛口備前焼　　　　　　　大丈夫

青嵐ギターとセッション森明ける　涼呂

降りしきる雨や菜っ葉に畑の土　　十桝

御所山を芍薬越しに仰ぐかな　　　林道

立佞武多じっと館で出番待つ　　　寿々

春の宵つぼみ菜蒼く茹であがり　　扇子

ペダルこぐママのひたいににじむ汗　玲

 

２０２２年　５月 　例会

 こどもの日禍中の子等に平穏を　    玲

晩学の展示の作に風光る　　　　   翠風

皐月にて緑の世界鮮やかなり　　      英

緑雨去りて水田に逆さ虹　　　    いつつばし

八百の風白石川の鯉のぼり　　　     文庫

母の日に造花を胸に下校せり　　     漁市

春終わる自己流のままホーホケキョ 宗孝

一青窈と花水木は皆空仰ぐ　　　     牛歩

老いらくの何やら疼く沈丁花　　    大丈夫

春眠や夢の回想追いかける　　　      涼呂

花の塵踏みて渡らん生瀬橋　　　     十桝

風孕み定義の空に鯉昇る　　　　      林道

流鏑馬や豪華衣装に花埃　　　　      寿々

山裾に片栗の花うつむいて　　　      扇子

 

２０２２年　４月 　例会

 南門や春風に乗りスマホ撮り　　   寿々

陽だまりの白梅に立つ羽音かな　　扇子

亡き夫とみた花色褪せて妻もまた　玲

催花雨や雑踏・過疎の隔てなく　　駄犬

ほろ苦き昼餉の独活に夫笑顔　　　翠風

一雨に蕾ふくらむ桜かな　　　　　英

帰還者を夜の森桜待ちて咲き　　いつつばし

花冷えや団子一本酒二杯　　　　　島文庫

白き尾根借景にして春動く　　　　漁市

君影草みっつ芽がでた植木鉢　　　宗孝

鶯の声の飛び来る沢巡り　　　　　牛歩

校歌斉唱口ぱくの子も卒業し　　　大丈夫

春の闇ぎしぎし迫る音と揺れ　　　涼呂

黒海の静まる波を待つ漁師　　　　十桝

清明や碁をうちあう石の音　　　　林道

 

２０２２年　３月 　例会

春の侵略カチューシャはもう唄えない　林道

サクラサク願いを込めしオクトパス　　寿々

思い出は桜追いかけ介護の日　　　　　扇子

戦禍から避難の母子寒厳し　　　　　　玲

梅林に時を紡いで好文亭　　　　　　　駄犬

湯の宿の腰据えて酌む雪見酒　　　　　翡風

春の夜に休酒誓いとこしえに　　　　　英

重力を忘れ空舞う雪の花　　　　　　いつつばし

桃の日や赤きワインの女系親　　　　　文庫

逃れ来し異郷の春やぬいぐるみ　　　　漁市

晴の日の晴れ着に纏うむつのはな　　　宗孝

春雷やホワイトデーも近づきぬ　　　　牛歩

春帽子とんで迷路のガイド役　　　　　涼呂

沈丁花咲くを待ちいる畑の神　　　　　十桝

 

２０２２年　２月　例会

楼蘭の砂漠の黄砂はろばろと　　　十桝

闇に向けコロナは去れと豆を撒く　林道

雪まとい白樺のよう雑木かな　　　 寿々

チリ鍋の具材楽しく温き刻　　　　 扇子

枯草にかくれ芽を出すこぼれ種　　 玲

春立つも床の間に座す旅支度              駄犬

柚子浮かべ爪たて香る朝湯かな　　 翠風

浅き春コロナつき合い三年目　　　 英

荒れ海を舵は西風鶴来たり　 いつつばし

朝焼けに纏振るよに細雪　　　　　漁市

主なき大地頭上に光るオリオン座　宗孝

柔らかなあかまつの道雪明り　　　牛歩

やはらかに読経流るる冬の朝　　　涼呂　

　　　　　 　

２０２２年　１月　例会

初夢やみな若き頃遠きこと　　　大丈夫

朝露に鼓動始まる裸木かな　　　凉呂

地吹雪や鰊戻りし北の浜　　　　十桝

史都巡り浮島神社の雪をふむ　　寿々

願い事納めし炎去年今年　　　　扇子

白いまま机上に残る年賀状　　　玲

雪降るや墨の香匂う文届く　　　いずみ

七草粥亡母の箸を揃えけり　　　駄犬

不揃いのぐい呑み二つ新酒酌む　翠風

年明けて覚悟は良いか我ひとり　英

工場の煙に眩しき初日かな　  いつつばし

宛処なく走る襷の息白し　　　　文庫

雑煮ながめ席を詰めよと虎張子　漁市

松風に心しずめて初点前　　　　宗孝

木の家や空に溶けいる冬桜　　　牛歩