２０２１年　１２月　例会

紅葉燃ゆ愛を貫き修羅の人　　　　大丈夫

冬ざれの風に逆らう草木かな　　　林道

冬の陽や義母の背中にそっとさす　寿々

海鞘ひとつ命の水を吐き出して　　扇子

銀杏の葉濡れた路面に陣ひろげ　　玲

口にせぬ思いありけり枯木星　　　いずみ

初雪や天台の道静寂す　　　　　　駄犬

目覚ましの少し遅れし冬の朝　　　翠風

冬至刻一番星や輝きぬ　　　　　　英

年毎に燃えず散りゆく楓かな　　　いつつばし

助けてと言えぬ性とや氷雨ふる　　文庫

マフラーに夢は遡上す神田川　　　漁市

プラタナス色なき風にカラカラと　宗孝

山茶花の庭に華やぎ満ちており　　牛歩

 

２０２１年　１１月　例会

母親を待たせて拾う木の実かな　　　大丈夫

無花果や捥ぎたてを食む香ばしさ　　涼呂

デジカメの褪せずに残る紅葉かな　　十桝

芋掘りや土と戯むる児どもたち　　　林道

若者のスマホ検索冬選挙　　　　　　寿々

陽に映えて秋の山並み貼り絵かな　　扇子

愛犬の抜け毛たごまる冬座敷　　　　玲

わしづかみの塩をやさしく蕪漬　　　いずみ

里の秋良寛さんの関所跡　　　　　　駄犬

盃二つ秋の長夜のちびり酒　　　　　翠風

老いてなお何を求める秋の夕　　　　英

空の青吸いてサフラン色づきぬ　　　さとか

黄昏の街に鮮やか散る銀杏　　　　　いつつばし

芝浜や大晦の五億円　　　　　　　　文庫

路地の角石焼き芋の節留まる　　　　漁市

大王松狐横切る輪王寺　　　　　　　牛歩

 

 

２０２１年　１０月　例会

長き夜や色あせて書画手に重し　　　涼呂

金秋や国分町の仄明かり　　　　　　文庫

青空やとんぼと遊ぶ児どもたち　　　林道

照ノ富士相撲甚句や桜鯛　　　　　　牛歩

外灯を全て消したし満の月　　　　　大丈夫

晩秋や藪の奥からセレナーデ　　　　いつつばし

ジャズとワイン秋の近づく定禅寺　　寿々

真っさらな一枚の空鳳仙花　　　　　いずみ

秋彼岸田んぼの畦に赤い花　　　　　宗孝

雨後の空いっきに秋を先取りす　　　翠風

たゆとうと薄れゆく愛貴船菊　　　　玲

除草機のリズムに乗りて朝の風　　　扇子

秋の夕人の恋しやあいうえお　　　　英

秋風や陣に声無き五丈原　　　　　　十桝

にわか農婦掘り出す芋のか細きや　　駄犬

孫と摘む真っ赤な秋のラズベリー　　さとか

温め酒酔待月と洒落こみぬ　　　　　漁市

 

 

２０２１年　９月　例会

白シャツの友の形見に袖通す　　　　　翠風

真昼間は淋しく揺れる月見草　　　　　さとか

烏賊を干す浜の嫗のひかる顔　　　　　いつつばし

朝顔の藍空の青に負けんとす　　　　　牛歩

果もなし八十路の旅は穴まどい　　　　大丈夫

鬼やんま風に流されそれっきり　　　　いずみ

秋近し静かに佇む阿弥陀堂　　　　　　寿々

血を吸えぬままに散る蚊の細き声　　　十桝

雨降りて心はすでに秋泊まり　　　　　英

ブラバンの響きなめらかに夏終わる　　宗孝

名月や一句詠みたし吟じたし　　　　　玲

桃の尻追ひて長十郎の来る　　　　　　文庫

艶やかな夕餉の主役秋茄子　　　　　　扇子

百日紅路面につもる花しぐれ　　　　　涼呂

盆船や乗員数え舫解く　　　　　　    　漁市

 

２０２１年　８月　例会

一句うかばずジャズを聴いてる夏の夜　　宗孝

白鵬の綱の品位や大相撲　　　　　　　　文庫

納得の師の句賜る古希の夏　　　　　　　翠風

風を掃き天上げ始む八月や　　　　　　    漁市

葦簀越し風をまねくや奥座敷　　　　　　さとか

蝉時雨しぐれるままの狭庭かな　　　　　十桝

くびすじの日焼け気になるショートヘア　玲

クロサギと目と目が合って旅の空　　　　牛歩

本降りに蝉も飛び出す大夕立　　　　　　大丈夫

サクサクと軽き音する夏キャベツ　　　　涼呂

偏東風緑の絨毯豊作願う　　　　　　　　寿々

三線の奏でる音色夏の碧　　　　　　　　扇子

提灯に浮かぶ戸口や迎え盆　　　　　　　いつつばし

 

２０２１年　７月　例会

凡人の凡で良かった蛍草　　　　　　　翠風

バス待ちを見送るように夏つばめ　　　扇子

びわの実の切ない香り裏どおり　　　　宗孝

楊貴妃を娶るが如し竹夫人　　　　　　文庫

今年こそ友と飲みたや梅雨晴れ間　　　英

紅花の写メに短かき添え文が　　　　　漁市

天窓に雨音せわし梅雨の朝　　　　　　さとか

夏空や救急ヘリの音やみぬ　　　　　　涼呂

板塀の中に李の実る家　　　　　　　　牛歩

軒下に揺らめく罠や女郎蜘蛛　　　　　いつつばし

頬に接吻LOVEなちびっこ夏日影                      玲

梅雨寒や赤いハンカチ想起せり　　　　十桝

ぎしぎしと回る水車や夏つばめ　　　　いずみ

 

２０２１年　６月　例会

思い出とともに飲み干すソーダ水　　　さとか

早苗饗や雨やざんざんとふりにけり　　文庫

梅雨はしりはびこる草と吾れ勝負　　　玲

徒長枝の狭庭で弾け走り梅雨　　　　　翠風

大谷へ届けこでまりチアダンス　　　　漁市

昭和の日父の残せる日記帳　　　　　　大丈夫

ヤンゴンにいま降りしきるなみだ梅雨　十桝

栗駒に雪渓ふたつ笑窪かな　　　　　　いつつばし

マンションも日本の香り青畳　　　　　寿々

さりげなく昼の月ある花あやめ　　　　いずみ

新米パパに愛のエールエゴの花　　　　宗孝

夏場所や揃い踏みする面がまえ　　　　扇子

 

２０２１年　５月　例会

「負けないよ」口を揃える鯉のぼり　　玲

ちゃぐちゃぐの馬鈴と唄や青田風　　　いつつばし

松島や見る人もなし青もみじ　　　　　寿々

休耕田蛙の合唱豊かなり　　　　　　　牛歩

どの山も萌える色あり深呼吸　　　　　涼呂

帰り道ビニール傘に桜蘂　　　　　　　翠風

換気するバスの窓から飛花も乗り　　　漁市

老木の先に二房藤の花　　　　　　　　文庫

家飲みの苦きビールやただ黙す　　　　十桝

強東風や散策の途中踏み止まる　　　　扇子

立夏過ぎ未だマスクの煩わし　　　　　英

君影草やっと咲いたね植替えて　　　　宗孝

 

２０２１年　４月　例会

古くから心惑わす桜かな　　　　　　英

ミミズ鳴く泣き声たてずよじりなく　十桝

春雨や牛なでる手に幸のあれ　　　　寿々

目覚めると桜月夜の宅急便　　　　　宗孝

彼方此方に初音届くや川崎郷　　　　牛歩

春灯の心もとなき漁師街　　　　　　いずみ

瓦礫にも負けずに椿今年も咲き　　　扇子

おだやかな日々まだ遠き仏生会　　　翠風

春耕やよみがえる土しみる雨　　　　玲

花御堂土抱え込む大樹かな　　　　　涼呂

人や場所過ぎ越し方の花うたげ　　　漁市

子は母に春の黄花の名をたずね　　　いつつばし

借景は抹香臭き桜かな　　　　　　　文庫

 

２０２１年　３月　例会

バッケ味噌地酒の封を切る合図　　　駄犬

はや十年戒名なきまま春涛に　　　　漁市

早春の静かの海や忘れまじ　　　　　英

十年を飲み食い病んで梅咲いて　　　十桝

晩学の別れし友や句座の春　　　　　翠風

舞う雪を横目で眺む窓辺猫　　　　　いつつばし

復興の永い道のり波の音　　　　　　扇子

蒼穹の余寒三一一の朝　　　　　　　文庫

影潜むシークレットの黒マスク　　　涼呂

蝋梅や江戸の香りを今もなお　　　　寿々

街闊歩コート脱がせる春の風　　　　さとか

震度六不安な朝に福寿草　　　　　　玲

二年振り深呼吸する御雛様　　　　　牛歩

母の手で魔法かけたる蓬餅　　　　　いずみ

 

２０２１年　２月　例会

立春の光をうけて畑ほる　　　　　　林道

久々の遠出うれしい冬日和　　　　　玲

春間近気圧のような指紋見る　　　　さとか

顔うずめ手をふる吾子の冬帽子　　　涼呂

豆撒きや鬼面で踊る孫の顔　　　　　翠風

冬日向想い出散らすシュレッダー　　扇子

立春に微かな光り見えにけり　　　　英

春光の差すや柔軟剤のごと　　　　　漁市

立春や南南東へ喉ちんこ　　　　　　文庫

枇杷の花かすかに匂う狭庭かな　　　十桝

スイスいと補助輪外し春隣　　　　　寿々

まん作の二株ばかり山の裾　　　　　信

左義長や天ぷらそばの二人かな　　　大丈夫

雪見酒コクリ音する喉仏　　　　　　牛歩

星照らす蒼き雪影居久根かな　　　　いつつばし

胸元へ寒月光の痛きほど　　　　　　いずみ

 

２０２１年　１月　例会

艶の良き赤いりんごや雪の郷　　　　　扇子

新雪に猫の足あと一直線　　　　　　　十桝

風止みて静寂連れて雪ほたる　　　　　いつつばし

ひとすじの足跡を追い初詣　　　　　　信

ひたすらに主役のずわい蟹しゃぶる　　翠風

人は今平明が良き良寛忌　　　　　　　大丈夫

年の瀬に足元照らす淡い月　　　　　　寿々

正月や常と変わらぬひとり膳　　　　　玲

雪もよう西の空から鳥一羽　　　　　　林道

ＬINEより厳かに初日の出かな　　　    　涼呂

賽の目の雑煮餅なり夫婦椀　　　　　　文庫

ざくざくと雪をふんでは歩きけり　　　さとか

新年の戦い覚悟そして今　　　　　　　英

過ぎし日の真白き除夜がラッピング　　漁市

うかと出て氷の道に転びけり　　　　　いずみ