2024年12月の句会より

 

寄る辺なき心盗みし冬薔薇     いずみ

綿虫やふわりと舞って薄日さす   翠風

色付けを忘れ散りゆく山紅葉    いつつばし

流行風邪ホットワインにしませうか 島文庫

お裾分けの大根箸でフルコース   漁市

床の中白鳥鳴きて急かさるる    風輝

小春日や「国民宿舎」のある昭和  泉水

十時半ポインセチアの横で待つ   

くねらせて炙り鮑の哀れかな    ぽぷら

檜田や刈株太く整列す       西三十

天高く小さき一羽飛ぶや飛ぶ    洋水

木枯やゆれる街路樹雲流る     秋桜

スクランブル斜めに急ぐ十二月   大丈夫

腹巻にカイロ忍ばせ草むしり    十桝

初雪や隣の国よ平安に       林道

悠久の南門冬より見る現在を    寿々

ページェント眺めし友は冬の星   扇子

Jポップリズムにのれぬ忘年会    

 

2024年11月の句会より

 

10月初旬 多賀城への吟行時及びその関連句】

秋晴れや古都吟行の仲間達   林道

秋茜誘ふ城あと吟行会     

南柱に色なき風や朱い門    翠風

阿弖流為の涙の雨や花菖蒲  いつつばし

兵が弓後に児あり草紅葉    島文庫

南門をしめやかに刷く秋夕焼  漁市

秋吟行句なし酔いあり昼下がり 風輝

楽の音の残る城址の風爽か   泉水

壺の碑や色付き初めし椿の実  ぽぷら

碑のいにしへ継ぐや丘の秋   洋水

秋惜しむ歴史を刻む多賀城碑  大丈夫

刈草の匂い残すや多賀城址   十桝

多賀城碑縁の想い冬日浴び   寿々

 

 【定例句】

スケッチの彩色はあと時雨来る 

風を切り新米を積む貨車ゆきぬ きぼこ

杜の径落ち葉の絨毯心地良し  扇子 

 

2024年9月の句会より

 

迎え待つデイサービスや梅雨晴れ日  扇子

雷神の太鼓の乱打豪雨かな      

玄関に昼の暗がり月鈴子       いずみ

風鈴の出窓に足りる音色かな     翠風

喧噪を掻き消す如く街の蟲     いつつばし

住職の袂たっぷり夏衣        島文庫

盆踊り還りし船のもやい解く     漁市

夜の都会青松虫の大合唱       風輝

旋回の爆音残し鰯雲         

家族葬とふ縁ひと房の葡萄      ぽぷら

みんみんや命つなげよビルの街    西三十

一分間「ラ」の音流る秋の空     きぼこ

バーゲンで長そで買って秋を待つ   洋水

妻の頬打ちて謝る蚊遣かな      大丈夫

象に乗り木陰に憩う仏陀かな     十桝

トンボ飛びちびっこ忍者跳び回る   寿々

 

2024年8月の句会より

 

スパイクのセーフの後の光る汗   寿々

山あいの風吹く宿に蛍飛び     扇子

夏休み賑わい消して通学路     

ぐい呑みの地酒の香り昼寝かな   翠風

天を指す子らの指先夏茜     いつつばし

二つ星漫ろ明らむ半夜かな     島文庫

ガラス器に夏を削りし音も載り   漁市

銀山のガス燈の灯や涼気かな    風輝

しはらくは昼寝の国の人となる   泉水

鋼鉄の皮膚もて挑む蟻一匹     

尋ねたる旧き町名七変化      ぽぷら

茹だる日々木肌さらっとさるすべり 西三十

立ちばなし手は忙しなく蚊をはらい きぼこ

枝豆や口八丁に手八丁       大丈夫

七夕の喧騒逃れ冷や一杯      十桝

鶏頭のすっくと立つや雨上がり   林道

 

2024年7月の句会より

 

草むしり腕に筋肉つきそうな    林道

龍飛崎夏風受けて仁王立      寿々

柵伝いキウィフルーツ住み着きぬ  扇子

くもり空深紅きわたつ立葵     

妹の律儀に結ぶ粽食む       翠風

こんがりと子らの顔にも夏来たり  いつつばし

兵の銃後に児あり虎が雨      島文庫

炎天下ミミズの遺書やただ「の」の字 漁市

金運や肩から宙へ黄金虫      風輝

戦いの終わりが記念日心太     泉水

万緑を光背として摩崖仏      

雲の峰清水寺に蝦夷の碑      ぽぷら

つづら折り路肩に触れる濃山吹   西三十

老猫は静かなりけり梅雨の宵    十桝

 

2024年6月の句会より

 

炎天下シャッター街をバス往けり  西三十

晴天や庭パラソルの土用干し    大丈夫

名も知らぬ虫と出会えりレタス畑  十桝

晴明や空気神社のブナの風     林道

二条城ニイハオニイハオ半ズボン  寿々

髷結えぬ入幕力士初優勝      扇子

温暖化時さだまらぬ更衣      

目に見えぬものに躓きはたた神   いずみ

万緑や空に五本の飛行雲      翠風

野良仕事休めとばかり緑雨     いつつばし

ぽとぽとと狸涙する日傘かな    島文庫

葉桜や中を射抜きし青のあり    漁市

薫風や陣旗震わせ騎馬走る     風輝

鎮魂の鐘まだ鳴らず花茨      泉水

護符殊に北野神社や青楓      ぽぷら

 

2024年5月の句会より

 

地下街の珈琲占い春の暮        泉水

咲きほこる花は闇へと入り初むる   

岩手の楤の芽買ふ東京ど真ん中     ぽぷら

田起こしを見守りひかる須川岳     西三十

スクランブル先を急がす青嵐      丈夫

夏近しつるむらさきの照り若葉     十桝

人も無く江蓮の墓青紅葉        寿々

とりどりの花びら揺らす春の風     扇子

かぜかほる園庭まえや親ばなれ    

花鋏のかろきリズムや風薫る      いずみ

採れたての筍飯やほっこりと      翠風

水はりて棚田百枚夏の空        いつつばし

蟻穴を出づる老人会のバス       島文庫

追憶と期待重すぎ花の散る       漁市

満開のつつじに人出いまは無し     風輝

 

2024年4月の句会より

 

ラン活の御礼の写メや花の下    漁市

待ち侘びる傘に雨音花は散る    風輝

春驟雨車窓のわれら皆魚族     泉水

初虹の薄薄失すやしゃぼん玉    ぽぷら

朝寝覚め枕辺のメモ意味不明    大丈夫

花の影膨れゆくなり花菜風     涼呂

みぞれ降る荒野を急ぐキタキツネ  十桝

春彼岸戦争止めて種子を蒔け    林道

盃に花びら写し春の宵       寿々

春の土芽吹く野菜の青さかな    扇子

さくらさくら土手の切り株さくらの木 

空っぽの鳥籠の影春夕焼      いずみ

生け垣の雀のねぐら春日差し    翠風

鴇色に染まる障子や春の夕     いつつばし

湯の郷へ続く街道桃の花      島文庫

 

2024年3月の句会より

 

白鳥の中腰で居る余寒かな     島文庫

そつえんしき知る由もなし会者定離 漁市

春空を白鳥V字長旅か       風輝

繰り返す自問自答や春の泥     泉水

なんとなく寝ころんでみる春日かな 

しら梅に一日霙るる道真忌     ぽぷら

二度寝する夢の続きや今日雨水   大丈夫

淡雪の消えてあらわる陽の眩し   涼呂

平安の春も花より団子かな     十桝

椿花落ちて音なく昼下がり     寿々

夜更かしに衣類繕う針供養     扇子

恋猫や恋みのらずに爪を研ぐ    

大いなる日差しの揺れる春の河   いずみ

二人して体丸める余寒かな     翠風

芋売の笛に釣られて雪の路地    いつつばし

 

2024年2月の句会より

 

手をかざす親子四人や丸火鉢    いつつばし

盤上は黒優先の雪間かな       島文庫

和菓子屋の品書きあらた春立つ日   漁市

南天や食べ尽くされて空っ風     風輝

白鳥の帰還兵士も帰還せよ      泉水

ストーブのまはり賑わふ津軽線    

心経を唄ふ踵に日脚伸ぶ       ぽぷら

湯豆腐は木綿と決めて地酒かな    大丈夫

雪虫の淡き温もり掌に        涼呂

匂わねど梅の蕾の膨らみて      十桝

雪かきのスコップ握れば若返る    林道

つがい鴨水輪広がる名取川      寿々

初場所のざわめきおきてタオル揺れ  扇子

冬うらら園庭発の汽車ぽっぽ     

胸元に遊ぶ春風ハイヒール      いずみ

痛快に破魔矢かかげる年男      翠風

 

  2024年1月の句会より

 

逝く友や句座がお別れ冬薔薇     翠風

漆黒の尾根を描いて寒茜     いつつばし

去年今年ピポンピポンと来るライン 島文庫 

遅参者を肴に加え忘年会      漁市

エリアメール寒き輪島の無事祈る  宗孝

大晦日一年越しの蕎麦粉打つ    風輝

ブローチの位置定まりぬ降誕祭   泉水

酒酌まむ椅子を寄せ合ふ年の朝   

見霽かす大仙台の初景色      ぽぷら

そのジョーク笑わぬでもなき初笑い 大丈夫

大ないの能登に無情の雪が降る   十桝

薬草に素肌滑らせ枇杷の花     寿々

お茶の間に餅焼く香り福笑い    扇子

初詣末吉を当て得心す       

初凪やワインの栓をポンと抜く   いずみ